「はーい、今日も元気にサイコロ振るよー!」
若干、浮き気味の天使は1人だけテンションが違う。
この【リアル人生ゲーム】も半分以上、進んだ。
足元に広がっているマス目も、あと残り僅か。
残り数回で誰かがゴールしてしまうだろう。
今、先頭にいるのは、友美だ。
ゲームが始まるまでは、私も由佳たちと同じようにからかったりしていた。
でも、実際に話してみると、悪い子じゃない。
その、実際に話す機会が今までなかっただけ。
次に亮平で、そのすぐ後ろが彰。その後に未知瑠が控えている。
「でも、ちょっと最近、地味目じゃない?」
未知瑠が振り返って、私に言った。
最下位は結局、板垣だったが、彼女ができたからか最近はご機嫌だが。
そしてこのゲームは順位を争っているんじゃない。
それなら早くゴールするよりは、小さい目を出して何度もマス目を踏むほうが得だ。そうすれば何度も幸せが訪れるのだから。
けど「地味目」と言った未知瑠の言葉が、私たちのテンションを表していた。
そうなんだ。
マス目から浮かび上がってくるものが、どれもこれも【地味】だから。100万円拾ったり、競馬で山分けしたりという【大当たり】がない。
「とりあえず、宝箱狙いかなー?」
4つ先にある宝箱を狙う未知瑠が、サイコロを振った。