「っしゃー‼︎」


外れ馬券が舞い散る中、みんなが雄叫びを上げて跳び上がる。


男子たちは叫び声を上げ、未知瑠が飛びついてきたが私が反応しないからか、友美と抱き合っていた。


場内は騒然となる。


万馬券が出たからだ。


あのゲームの通りになった。


ただ馬券が当たったんじゃない。


万馬券を買ったから、落馬が起きたみたいに__。


そのことがどこか、私の心の奥で冷たく響いていた。


もしかしたら、とんでもないゲームに?


「光莉、ろ、ろ、ろっぴゃくまんだって‼︎」


「えっ?」


「ひ、ひとり、100万だよ!あの時の100万をこれで取り戻したね!リアル人生ゲーム、さいっこー!」


未知瑠のテンションに、私もつい笑ったわけで。


心に芽生えた違和感が、次第に溶けていく。


そうだ。


なにも心配することはない。


だって、良いことばかり起きるじゃないか。


ゲームをしなければ、絶対に手に入れられない大金を手にした。


みんなに幸せが訪れたんだ。


みんなの興奮で喜んだ顔を見ていたら、おかしなもので、早くサイコロが投げたくなった。


次はなにが起きる?


どんな良いことが?


どんな【幸せ】なことが?