「凄い凄い!」
悪魔が、手を叩いて喜んでいる。
私は静かに、マス目を進んだ。
なにげなく始めた、リアル人生ゲーム。
みんなで力を合わせて、3億円を手に入れた日もあった。
小さな幸せを、分かち合った日。
でもそれは、遠い遠い昔のこと。
板垣が死に、彰は私を庇って亡くなった。
由佳が焼かれ、友達だった未知瑠も、恋人だった亮平も、いじめられっ子からいじめっ子になった友美も、みんな居ない。
ボードの上には、私だけ。
私だけが生き残ったんだ__。
炎の輪をくぐり、ゴールに到達する。
「おめでとう!」
そう言って迎えてくれた悪魔とも、もうおさらばだ。
「やっぱり君は【サイコロの達人】だね」
「別に、嬉しくもない」
「そんな寂しいこと言わないでさ」
「てか、早く帰りたいんだけど」
ぶっきら棒に言うと、肩をすくめて道を開けてくれる。
ゴールを進んで、現実世界に戻るんだ。
もう、私しか居ないけれど__。
「またね」
手を振る悪魔を無視し、私は光の中に入っていく。
心地良い温もりに包まれて、リアル人生ゲームから去った。
ゲームは、終わったんだ。



