彰が死んだ。
容態が急変したらしい。
そしてその時、私は彰の胸の上で眠っていた。
苦しんでいることに、気づきもしないで__。
「光莉」
私の名を気遣うように呼ぶのは、亮平だった。
病院で抜け殻のように座っていた私は、立ち上がることさえできずに、ただ時が流れていくのを見ていた。
悲しいという感情すら、わいてこない。
涙さえ一滴も溢れてはこない。
大切な人を失った悲しみを、決して認めようとしないかのように。
「大丈夫か?」
私の横に腰掛ける亮平は、なんだか疲れているように見える。
みんな、疲れ切っていた。
リアル人生ゲームに、命を削られている。
「池岩は、一酸化炭素中毒だったらしい」
最初、なにを言っているか分からなかった。それがボード上で焼け死んだ由佳のことだと気づくまで、かなりの時間がかかった。
見た目は焼けただれておらず、死因がなぜか一酸化炭素だったようだ。
未知瑠は捕まっているし、友美も入院したまま意識が戻らないということを、亮平が教えてくれた。
それを私は黙って聞いている。
相槌をうつでも、答えるでもなく、ただ黙って聞いていた。
やがて喋ることがなくなった亮平も、黙り込む。
どれくらいそうしてただろう?
ふいに、亮平が私の手を握ったんだ。