未知瑠とコンビニに行った時のこと。


女子トイレでメイクを直していたら【それ】に気づいたんだ。


トイレットペーパーの上の台に、封筒が置いてある。


忘れ物?


何の気なしに掴んで中を覗くと__。


「へっ?」


間抜けな声が出た。


封筒の中に、札束が入っていたからだ。


テレビなんかでしか見たことがない、分厚い札束。


恐る恐る取り出してみると、帯がついている。


「み、み、みち、未知瑠‼︎」


メイク直しを途中で放り出し、私は雑誌を読んでいた未知瑠に飛びついた。


「なに?お化けでも出たの?」


「ち、違う。こ、これ、これ、トイレで!」


封筒を押しつけると、中身を確認した未知瑠が「ひっ」と息をのみ、辺りを見回す。


「ど、どうする?私、どうしたらいい?」


鼓動がおさまらない私とは違い、なぜか天井を見上げている未知瑠。


「ひ、拾ったよね?これ、持って帰っても__」


「アウト。監視カメラある。このまま持ち逃げしても見つかっちゃう。どうしてトイレの中で鞄に隠さなかったのよ」


「えっ、そんなこと言われても。ダメ?アウト?こそっと出たら気づかれないんじゃ__」


「逮捕!」


私の両手を掴み上げた未知瑠が、笑いながらレジに手を引っ張っていく。


こういうところ、未知瑠は真面目だ。


項垂れる私の横で、落し物の【100万円】をレジに届けたんだ。