「私に言ったわよね?」
友美が、私を振り返った。
「爆弾、使えないんじゃないかって?それは私に、使う勇気がないってことでしょ?」
力強いその目に、揺らぎはない。
迷いが消えていた。
友美はこのターンで【爆弾】を使う。
私たちにみすみす殺されるのなら、私たちそのものを消滅させる気だ。自分もろとも、道連れにするつもりだろう。
これまでは踏ん切りがつかなかい様子だったが、私と由佳に屋上から突き落とされ、それが決心させる形となったんだ。
由佳の凶行が裏目に出た。
「覚悟しておいてね。っていっても、もう覚悟する時間もないけど」
再び女王の威厳を取り戻した友美は、ふふふ、と笑った。
全員の命が友美の手に握られている。
そしてその手の中の命は、間も無く握り潰されるだろう。
全員が顔を強張らせながらも、なにか考え込んでいる。
それは、なんとか友美が【爆弾】を使うのを止められないかと__。
「じゃ、そろそろ始めるよ」
悪魔が明るい声で、サイコロをくるくる回す。
「えっ、待ってよ!」
私は思わず大きな声を出した。
「なんだい?」
「彰がまだじゃない!」
「ああ、彼かい?」
「ずっと寝てたから起きてると思うの。もうすぐ眠ると思うから、それまで__」
「それはないよ」
「えっ?」



