「ちょっと!どういうことよ⁉︎」


そんな怒鳴り声がして、私は目を覚ました。


黒い雲が広がっている。


また、ゲームが始まったのか。


「なんで私のものにならないのよ!あいつを始末したのは私なのよ⁉︎」


どうやら由佳が、悪魔に食ってかかっているようだ。


「いくら現実世界で誰かを殺したとしても、その人が持っていた【アイテム】は君のものにはならない」


「じゃ【爆弾】は誰のものになるのよ!」


凄い剣幕で詰め寄る由佳だったが、悪魔は涼しい顔で指差した。


えっ、私?


「なんで、なんで仁科さんなのよ?突き飛ばしたのは私なのに」


「それは【リーダー】だからだよ」


「リーダー?」


「そう、このゲームを始めたリーダー。誰かが居なくなれば、メンバーを補充する。君が途中参加したようにね。でも、メンバーを補充しなかった場合は、すべてリーダーに引き継がれる」


「そんなの、卑怯じゃない!」


そう言って、私を睨みつけてくる。


「でも、そのぶんリーダーは背負わないといけない。つまり、居なくなった人のぶんまでサイコロを投げる。危険も2倍ってわけだね」


「危険が、2倍?」


さっきまでの威勢はどこへやら、急に由佳がおとなしくなる。


友美の持っていた【爆弾】が私に引き継がれる?


でもそれは、私が友美のぶんまでサイコロを投げないといけない、ということだ。