「池岩さん、どこ言ってたの?」


友美が呆れたように声を掛けたのは教室__ではなく、ボードの上だった。


また今日もゲームが始まる。


一瞬にして、私たちの立場を逆転してしまうゲームが。


「無視?ここでも私のこと、無視するんだ?」


執拗に絡む友美だったが、由佳がそっぽを向いてシカトするとすぐに悪魔に向き直る。


「爆弾、使います」


「ちょ、ちょっと待ってよ!」


私と未知瑠が慌てて止めに入るが、使うといって譲らない。


「だって、私のこと無視するから」


「別に私は__」


「えっ⁉︎なに?聞こえないんですけどー?」


はぁー?といった表情で、由佳を追い詰める。


友美は仕返しをしているだけだ。


ずっと自分のことをイジメてきた由佳のことを、ここぞとばかりに痛めつける気なのだろう。


どうすることもできない。


友美が【爆弾】を持っている以上、私たちは手も足も出せない。


どんな無理難題も、きくしかないんだ。


「わ、私、投げるから!」


悪魔から強引にサイコロを奪い取ると、未知瑠は慌てて放り投げた。


③が出て、3マス進む。


「__マジで?」


呆然と呟くのは、マス目がめくれ上がったからだ。