「でも、待って」


私はどうしても友美に尋ねたかった。


「私の時は、指令を守ってくれたじゃない?」


「あぁ」


「それは、友達だからじゃないの?」


「友達?」


友美が顔をしかめる。


口にも出すのも、忌まわしいとでも言うように。


「さっきから友達友達って、あんたも私のことイジメてたじゃない」


「それは__」


「2人して私のこと指差して笑ってたじゃない!」


ツバを撒き散らして怒り出した友美は、未知瑠のことも睨みつける。


「それが今頃なに?誰も助けてくれなかった。見て見ぬ振りして、誰も私のことなんて助けてくれなかった!」


今にも泣き出しそうに訴える、いじめられっ子。


その苦しみは、計り知れない。


だが、泣きっ面のまま爆弾を持ち上げると、友美が頬をすり寄せる。


「今はこれが、私の友達。私のことを絶対に裏切ることがない、最高の友達だから」


熱を帯びた瞳で、爆弾に頬ずりをする。


狂ってる。


けれど、狂わせたのは、いじめていた私たちか。


「まぁでも、そんなにゴールしたいんならいいわよ。私も【友達】が消えちゃうのは悲しいから、ゲームを続けましょう」


友達が満面の笑みを浮かべて言った。


立場が、逆転した瞬間だった。