悪いことが起きる。


それも、避けようがない。


逃げることも、防ぐことも、覆すこともできない。


どんな目が出たとしても、受け入れるしかないんだ。


私たちが固唾を飲んで見守る中、由佳だけは勝ち誇った笑みを浮かべている。


「どうせなら、本物の犬にでもなればいいのに」


と。


友美は真っ青のまま、完全に剥がれた足元のマス目を見下ろしている。


一体、どんな悪いことが__?


しかし、言葉は浮かび上がってこない。


その代わり、黄金の光が溢れてくる。


目が眩(くら)むほどの、煌びやかな光とともに現れたのは__。


「宝、箱?」


私は呟いた。


宝箱が出てきたからだ。


それも、黄金に輝いた【宝箱】が。


「これはなかなかレアだね。きっと、良いものが入っているよ」


悪魔が少し驚いた感じで、友美に開けるよう勧める。


これまでにも、それぞれが幾つかアイテムを手に入れていた。


けれど、どれも普通の宝箱だ。


特別感が満載の、金の宝箱。


どんなアイテムが入っているのだろう?


友美がゆっくりと、宝箱を開ける。


中に手を入れて、なにかを取り出した。


あれは__。