次は彰だ。


サイコロを受け取ると、後ろの私を振り返る。


視線が絡み合い、私がひとつ頷きかけると力強くサイコロを放った。


どうか、なにも起こりませんように__。


亮平の時とは違い、彰の時にはそう祈りを捧げる。


それが通じたのか、マス目に変化はない。


「はい、次は新入りの君だよ」


悪魔が軽く放ったサイコロを、由佳は取り損ねた。


顔色も悪く、いつもの傲慢さが影を潜めている。


ついさっきまでは、友美のことを目の敵にしていじめていたのに。


たった1日で10kgも太ったことが、相当ショックだったのだろう。


強張った顔でサイコロを投げた。


いっそもう10kg太れば、面白いのに。


心の中でほくそ笑んでいたが、今回は危険から免れたらしい。


思わず舌打ちしそうになる。


どうだ!と言わんばかりの顔で、友美を睨みつける由佳。


しかし友美は、涼しい顔でサイコロを胸に抱く。


その表情には、どこか余裕があった。


昼間も、いじめられているのに微笑んでいたし。


由佳が鋭い視線を差しむける中、悠然と4マス進む。


俯くことなく、由佳から目を背けもしない。


強い眼差しで押し返していた友美だったが、その顔が凍りついた。


マス目がめくれ上がったからだ。