しかしその矛先は、向かうべきところに向けられた。


「3回まわってワン‼︎」


教室に戻ると早速、由佳たちグループが友美をいじめていた。


ゲームで馬鹿にされたのが許せないのだろう。


友美の首に紐をくくりつけ、強く引っ張る。


「ちょっと‼︎」


私が止めに入るも、手下たちに妨害されて助けられない。


「全部、お前のせいだし‼︎」


そう言って、由佳が友美を蹴り倒す。


10kg太ったことが、怒りを倍増させているらしい。


そしてそれを、関係のない友美のせいにしている。


「お前は犬以下。なんなら、死ねって」


「や、やめてっ」


「死ね!」


憎悪に満ちた言葉が、周りに伝染していく。


【死ーね】コールが教室中に響き渡り、収拾がつかなくなって今や、クラス全体が友美を追い詰めていた。


「授業が始まるぞ!」


先生が入ってくると、うそみたいに散っていくいじめっ子たち。


私は慌てて、床に突っ伏している友美を抱き起す。


激しく肩を震わせ、声を漏らして泣いていた。


「大丈夫」と、気休めにもならない励まし方しかできないが、揺れる肩を抱きしめる。


その時にはもう、肩の揺れは止まっていた。


くくっ、と何かが聞こえる。


喉の奥から絞り出したような__?