さすがは夢だ。


空から羽の生えた天使が下りてきても、夢なら不思議じゃない。


だって、今も宙に浮いてるじゃないか。


「ようこそ。これからゲームの進行役をさせてもらう【エンジェル】とでも呼んでもらおうか。君たちは今から、このゲームに参加するんだ」


陽気な声の天使は、どうやら男の子のようだ。


彫りが深くて色が白く、巻き髪は金色で頭には輪っかがあり、とても日本人には見えないが。


「ゲームなんてするつもりはない」


すげなく言うのは、板垣康介だ。


「俺も部活あるしな」と、亮平が後に続く。


「なんか面白そうだけどね」と囁くのは未知瑠。


佐野友美は相変わらず、陰気臭く押し黙っているし、彰も腕組みをして天使を睨みつけていた。


けれど天使は満面の笑顔を、私たちに向ける。


「参加辞退は認められない。参加者リストに名前を書かれた時点で、ゴールするまで抜けられないことになってるよ」


天使が喋れば喋るほど、私は居たたまれなくなる。


やっぱり間違いない。これって__?


「そもそも、なんのゲームだ?」


彰が睨みをきかせると、天使は首を傾げた。


「あれ、まだ知らないの?これは【リアル人生ゲーム】だよ。その記念すべきスタートの日さ」


天使が嬉しそうに答えた瞬間、私たちの足元が光り輝いた。