ゲームの世界では、相変わらず空に暗雲が立ち込めている。


見上げるだけで暗い気持ちになるが、私の心は少しだけ軽かった。


指令を、クリアしたからだ。


ということは、みんなが指令を守ってくれた。


私を助けるために、協力してくれたんだ。


「みんな、ありがとう」


素直に頭を下げた。


それでも未知瑠は目を合わさないし、亮平もどこかよそよそしいけど、みんなの気持ちが嬉しかったのは確かだ。


昨日とは違い、誰も私を責めたりしなかった。


和気あいあい、とまではいかないが、サイコロを投げてマス目を進んでいく。


もうゲームは半分を過ぎた。


もしまた悪い目を出しても、こうやって全員で協力すればいい。


離れかけていた気持ちが、ほんのちょっと元に戻ったんじゃないか?


私は、そう感じていた。


「③だ」


そう言って3マス進んだのは、板垣だ。


ここまで誰もマス目に変化はない。


悪いことが起きずにゲームが終われば、ホッとひと息つけるのだが__。


板垣が踏んだマス目が、めくれ上がる。


誰もがはっと身構え、やがて浮かび上がってきた文字に言葉を失った。