絶対に悪い目を出すわけにはいかない。


どこに悪い目が潜んでいるか分からない。でも、私のマス目の先には【希望】があった。


4つ先に【宝箱】がある。


④を出せば、危機からは逃れられる。


④だ、④。


目を閉じてそう願い、私はサイコロを高く放った。


綺麗な円を描いて転がったサイコロが、ゆっくりと止まる。


④だった。


「ふぅ」と、ため息をつき、4マス進む。


宝箱に手をかけ、ゆっくりと開ける。


中はなんだ?


カードか?


アイテムか?


できれば、早くゴールできるようなものがいい。


けれど、宝箱の中には何もなかった。


「ハズレだね」


「えっ?」


「ハズレを引いた君には、とっておきの悪いことが起きるよ」


とんでもないことを笑顔で言う悪魔。


すると、宝箱がマス目に沈んでいき__代わりに文字が浮かび上がる。


とっておきの、悪いこと?


【火事で焼け死ぬ】


「うそっ」


現れた文字を前に、愕然とする思いだった。


「でも、指令書を引けばいい。心配するな」


彰に励まされ、私は箱の中に手を入れる。


どうか、クリアしやすい指令でありますように。


みんなが、守ってくれますように。


願いを込めて、指令書を引き抜いた。