誰だ?


誰が盗った?


その日のゲーム、私は屋上でみんなを注意深く観察した。


やっぱり、考えられるのは2人だけ。


未知瑠か、亮平だ。


この2人は、私の部屋に来た。宝くじをどこに保管しているのかも、尋ねてきた気がする。ロック番号は私の誕生日だから、近しいものなら分かるはず。


「じゃ、投げるよー」


自分がいつも1番手だからか、未知瑠は無理にテンションを上げている。


それも空回りだったが。


じーっと見つめていると、私の視線に気づいた未知瑠が振り返る。


すると、さっと目をそらした。


宝くじが無いことに私が気づいたと、感づいたのか?


5000万円では足りずに、3億円を独り占めするつもり?


「投げるぞ」


ぶっきらぼうに言って、彰がサイコロを投げる。


不参加表明できないのなら、もう前に進むしかない。


マス目を進んで振り返るその目が、私を見た。


一瞬、彰の胸の温もりを思い出したが、その残像を振り払う。


私には亮平という彼氏がいる。


確かに彰に抱き締められた時は、ドキンと心臓が高鳴った。


でも亮平を裏切るわけにはいかない。


私は意外と、そういうところは真面目だ。


浮気なんて、ありえない。