くーちゃんの部活が終わるまで、わたしは図書室で暇をつぶす。



支度が終わって彼が校門をくぐる時間を見計らい、わたしは門の前で待っていた。



学校が違うから、こうするしかないのだ。



くーちゃんと付き合い始めたのは、1年前。



カフェでひとり、涙をこらえていたときだった。



一緒に遊ぶ予定だった友だちについ10分前、ドタキャンされて。



飲んだこともない、真っ黒で苦しいブラックコーヒーをのんでいたときだった。



くーちゃんに、声をかけられた。



『お姉さんひとり?ちょっと着いてきてよ』



わたしのコーヒー代をさらりと払ったあと、わたしの腕をつかんで強引に町を歩く彼に、恐怖心と同時に戸惑いを抱いていた。