白雨の騎士


「…すごい姫がいるものだな。」


稽古場を後にしミラを部屋に送った後、アンナが言った。


「はい。驚きました。」


カルドス国は謎が多い国。


でも次期女王は確かにその素質がある人物だ。


剣の腕だけじゃない。あの真っ直ぐな姫にはみんなが付いていくだろう。


「…あの姫がこれからカルドスを変えていくのだろうな。」


アンナは空を見上げて呟いた。



「…アンナ、シド。」


すると、そこへルカがやって来た。


「ルカ、どうかしたのか?」


「…キトの足取りが掴めた。この国を出てアナモネア国へ向かったようだ。」


アナモネア…来週からアリス様が訪問する国だ。


「どこでその情報を?」


「港でアナモネアまで船でキトを乗せたという男から話を聞いた。通行証が確かにハデス家の名前が記されてきたそうだ。外見の特徴もキトに間違いない。」


ルカの話を聞いてアンナは腕を組んだ。


「ルカ、隊長に報告する。アリス様が訪問するんだ。何か問題があってはならない。」


ルカもアンナの言葉に頷いた。


「…仕方ない。俺も同席するから隊長の所に連れて行ってくれ。」