白雨の騎士


少し休んで、ミラは再び木刀を手にした。


「さぁ、次はあなたよ。」

シドも木刀を握った。


「はじめ!」


合図されたと同時に、ミラは勢いよく踏み込んだ。

確かに、スピードと力はある。

あの細い身体のどこからこんな力を出しているんだろう。

シドはミラの攻撃を交わしながら思った。

これは長年経過を積んできた動きだ。


シドも攻撃を仕掛けるが見事に交わされていった。

「はっ!やぁ!」


身軽に交わしていくミラに、シドもだんだん本気になり、一国の姫と手合わせしていることを忘れそうになった。


「あなたも、かなりの腕ね!」


ミラはにっと笑みを見せながら言う余裕があった。


木刀のぶつかり合いが続き、アンナが引き分けの合図を出そうとした時、

ミラの一瞬の隙をついて、シドは木刀を弾いた。


「あっ、」


ミラの手から木刀がはじかれて、地面に落ちた。



「そこまで。」

「はぁはぁ、負けちゃったわ」


ミラはシドをまっすぐに見て言った。



「ありがとうございました。」


ミラはその場に座り込んだ。


「あー、いい汗かいたぁ。」


よく晴れた青空を見上げて言った。


シドも額に汗が滲んだ。


まさかここまで戦えるとは思わなかった。



「こちらこそ、ありがとうね。ちゃんと手加減なしで相手してくれて嬉しかったわ。」


ミラはアンナとシドに手を差し出し握手した。