白雨の騎士


着替え終わったミラと共に稽古場へやって来た。

「あら?木刀を使うの?」


用意した木刀を手に取りミラが言った。


「万が一があっては困ります。真剣を使うのは控えさせて頂きます。」


「分かったわよ。さぁ、始めましょう」

ミラは軽く身体を動かすと木刀を構えた。

初めはアンナが相手をする。


「はっ!」

ミラは剣を振り下ろした。


その動きと力にアンナの表情が変わった。

見ていたシドも驚いた。


ミラ様はかなりの腕前のようだ。


手加減をするつもりでいたアンナもその余裕がなくなってきた。


木刀がぶつかり合う音が稽古場に響いた。

両者一歩も引けを取らない。


「…はぁ、はぁ、引き分けといったところかしら?」


汗を拭い、息切れしながらミラが言った。


「はい、…」

珍しくアンナも息が上がっている。



「はぁ、あなたかなりの腕前ね。流石は隊長だわ。」


「いえ、ミラ様もお見事でした。」