白雨の騎士


その夜、ミラの為に舞踏会が開かれた。

一目ミラ様を見ようとたくさんの来客者で城の門の前には馬車が列を成していた。


ミラは深い青色のシンプルなドレスで現れた。

派手な装飾がない質素なドレスだが、ミラの美しさがより際立っていた。

訪れた人々はその美しさに見惚れた。


「…すごい人数だな。」


アンナも会場に入り、集まった人の数に驚いた。


「はい。まだ門の前は馬車が並んでいます。これからもっと増えそうですね。」


「シド、今夜はミラ様の側を離れるな。」


「はい。分かりました。」

シドはミラの元へ向かった。

今夜アリスの元にはリダやルイが付いた。

この間の剣術大会以来、アリスと話していない。

今週はミラの警護があるが、再来週からはアリスが他国へ訪問予定だ。

シドは何故かあの一件以来、アリスにどう接していいのか分からなくなった。


「…シド、どうかしたか?」


アンナがシドの顔を覗き込んだ。


シドはハッとして首を横に振った。


今はミラの護衛に集中しなければ。


「いえ、何でもありません。」