アンナと別れた後、今日は夜勤のためそれまで剣の練習しようと、シドは稽古場へ向かった。」
「…シド!」
長い廊下を歩いていたら背後から名前を呼ばれた。
振り返ると、そこにはアリスが立っていた。
「アリス様…如何致しましたか?」
するとアリスは首から下げていた古い鍵をシドに見せた。
「ねぇ、ちょっと付いてきてくれない?」
アリスに付いて行くと裏門の方へ向かった。
裏門付近は木ヶで覆われ森になっている。
王宮内の者はこの辺りには誰も近づかない。
「…アリス様、どこへ?」
「もうすぐよ!」
少し開けたところに出たと思ったら、そこには小さな小屋が建てられていた。
まるで小人が住んでいるなのような小さな家だ。
「…ここは?」
「昔ね、庭師のじいやが作ってくれた隠れ屋よ。小さい頃はここでよく遊んだの。」
アリスは首から下げていた鍵で小屋の扉を開けた。
中は机や椅子、ソファや本棚が置いてあった。
小さい家だが、ちゃんとキッチンもあり水場も設けてあった。
「久しぶりにここへ来たくなって。懐かしい。」
アリスは嬉しそうに部屋の中を見渡した。
「…それはそうと、アリス様。確か今の時間は音楽会では?」
「抜け出して来たの。私、音楽会は嫌いよ。」
アリスの言葉にシドは小さく溜息をついた。



