「一族総出でキトの行方を追っている。見つけ次第、キトの闇の力を封印する。しかし、キトの闇の力は日に日に増している。目的が何かまだ分からないが、必ず王都へ現れると踏んでいる。」
ルカは一枚の写真を差し出した。
ハデス家の一族が写っている写真のようだ。
「このいちばん右端に写っているのがキトだ。」
ルカは黒髪の少年を指差した。
「…見覚えはない。最近街で何か騒ぎがあったという報告もないが、警戒はしておくよ。」
アンナは写真をルカに返した。
「…すまない、何か起こる前に必ずキトを見つけ出し力を封印する。だから暫くここに留まる事になりそうだ。」
闇の力を持つキトは今どこで何をしているのか…
ルカはシドをちらっと見た。
「…やぁ、新人かい?ルカだ。よろしく頼むよ。」
話しかけられるシドは慌てて敬礼をした。
「お初にお目にかかります!シドと申します。」
シドを見てルカはニッと笑みを見せた。
こんなに明るい感じの人なのに、闇の力を持っているなんて…
「…闇の力って、どうやって封印するんだ?」
アンナがルカに聞いた。
「…方法は二つあるが、一族の当主であるアテクシが力を封印する能力を持っている。この力はアテクシしか使うことができない。もう一つは光の力を使うことだ。」
光の力…?
「ウォルドーフ家を知っているか?ハデス家同様、100年続く一族で我が一族とは反対の光の力を持っていた。」



