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「…それでは今日はこれまで。隊長、来週はミラ様の警護を任せたぞ。」
「かしこまりました。」
打ち合わせが終わり、大臣達は執務室を後にした。
シドとアンナも部屋を出ようとすると、ルカが待っていた。
「やっと終わったようだな。」
「ルカ、ずっとここで待っていたのか?一体話ってなんだ。」
「とにかく中に入ってから話そう。」
3人になると、ルカは深刻そうな表情で話を始めた。
「…キトという名の男を知っているか?」
アンナとシドは顔を見合わせた。
二人ともその名前に覚えはなく首を横に振った。
「そうか、ならいい。キトは我が一族の者だ。そして、俺と同様に闇の力を持つ者だ。」
闇の力…
ハデス家の者が持っている人間離れした特有な力。
「知っての通り、この闇の力を無断で使用することは禁じられている。しかし、キトは契約を破り闇の力を使い家を出て行方知らずになっている。」
ルカは腕を組み深くため息をついた。



