白雨の騎士

「…さっきの剣、見事だったよ」


そう言うアンナにシドは慌てて背筋を伸ばした。


「近衛隊長と手合わせして頂いて光栄でした。」


するとアンナはクスッと微笑んだ。


先ほどまでは女である事を忘れるくらいだったが、こうして笑った表情を見るととても美しかった。


「…今回の募集、色々な噂が飛びかっているけど受かったらこの国の近衛になることに変わりはない。我が部隊は、身分や性別の差別はない、実力が全てだ。こうして女の私が隊長の座にいるんだ。君が仲間になる事を祈ってるよ」


そう言って立ち去るアンナの後ろ姿を見て、シドは暫くその場に立ち尽くした。




家に帰ると、旦那様に報告へ向かった。



「そうか、最終試験まで進んだか!流石は私の息子だ!」


旦那様は思いのほか喜んでくれた。


するとそこへハンスがやって来た。



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シドとハンスは外に出て星が輝く夜空の下に並んで座った。



「それにしても本当によかったわ、最終試験まで進めて。お父様ったら今日ずっとそわそわしてたのよ」



「…ああ。でも本当は試験自体受けるのを迷ったんだ。」


シドの言葉にハンスは驚いた顔をした。