白雨の騎士

全員の実技試験が終わった時には陽はすっかり暮れていた。


別室で待っていると、試験官が一人入って来た。



「えー…では最終試験に進む者の名前を発表する。名前を呼ばれた者は明日同じ刻限に王宮へ来るように。」



緊張した雰囲気が漂う中、名前を呼ばれた者は声を上げて喜んだ。



「…シド・メルヴィス」



シドの名前が呼ばれた。


…残った。。。


30人程いた試験者で最終に進めるのはたったの10名だった。



「やぁ、君も残ったんだね」


背後からルイが話しかけてきた。彼も最終に残ったようだ。



「最終的に残れるのは5名程だ。お互い頑張ろう」


そう言って手を差し出すルイに、シドは一瞬迷いが浮かんだ。


受かったとしても正式な近衛ではなく、王女の結婚候補。



明日の説明を受けて家に戻ろうとしたとき、背後から誰かに呼び止められた。


振り返るとアンナが立っていた。