白雨の騎士

「…そこまで!」

アンナの腕前に歓声が上がった。

素早い動きとテクニックで試験者達では歯が立たない。

今回集まったのはいいとこ育ちのおぼっちゃまが多いので尚更だ。

すると、ルイの名前が呼ばれた。


二人向き合い、合図がかかるとアンナは容赦せず剣を振りかざした。

キィンッ!!

アンナの攻撃にルイは身軽に交わしていった。


ルイの動きにアンナの表情が変わった。


ルイはアンナの攻撃を見事に交わしているが一向に自ら仕掛けようとはしない。


「…そこまで。」


ルイは剣を収めると微笑んで深くお辞儀をした。

アンナはそんな彼を目を細くして見つめた。



「…ふぅ、やれやれ剣なんて久しぶりに握ったよ」

手首を振りながらルイが戻ってきた。


「…お前、何で自分から攻撃をしなかったんだ」


「そんな事しても無駄に体力を消耗するだけだ。試験管だって、剣の腕を見てるわけじゃない」


ふっと失笑するルイにシドはギュッと拳を握りしめた。