白雨の騎士


「ふぅ、」

外の空気を吸うと、リアは少し落ち着いた。

沢山の人からお祝いの言葉を言われたが、やはり夫人達の鋭い視線を浴び続け、背中が固まってしまいそうな感覚だった。

「あら、こんなところでお一人で」

突然背後から声が聞こえ振り返るとそこに派手なドレスを身にまとった夫人が3人。手にはワイングラスを持っていた。


「人気のないところに1人でいるなんて、いくら舞踏会に慣れてないからと言って危ないですわよ。」

「あ…そ、そうですね。。」

リアが戻ろうとすると、通れないように3人がバルコニーのドアの前に出た。


「下級貴族がアラン様の婚約者だなんて身分違いですわ」

「舞踏会にはもっと華やかな格好で出るものですよ。なんですか、その地味なドレス」


パシャっ


そう言って夫人の1人が持っていたワインをリアのドレスにこぼした。


「ほら、これくらい派手な色じゃないと」


もう1人もリアの胸元にワインをかけた。


リアは怖くて身体が動かなかった。


「…ほら、お似合いよ」

最後の1人がグラスを傾けた瞬間、その手をシドが止めた。