シドはアリスの後ろに付きながら、ルイが言っていたアラン様を見た。
確かに王宮の女性たちから人気のようだ。アラン様の周りには話しかけたそうな女性たちが何人もいる。
「…アラン様は、アリス様の幼馴染なんだ。」
シドの隣でアンナが言った。
舞踏会は問題なく進み、いつものようにアリスは2時間程で会場を後にした。
その様子を少し離れたところからリアが見ていた。その表情は浮かなく、どこか寂しそうだった。
アリスが部屋へ帰る途中、オーギストがやって来た。
「…アリス様。アラン様もついにご結婚を決められました。次はアリス様の番ですぞ。国王陛下は、新しく雇った近衛隊との様子を気にしてらっしゃいます。」
ペラペラとすごい速さで動くオーギストの口にアリスは両手で耳を塞いだ。
「…悪いけど、疲れてるの。」
そう言って小走りで自分の部屋へ戻って行った。



