「あれが例の近衛隊か?」
シドに声をかけたアリスを見てアランが言った。
「……例のって?」
「お前の結婚相手だよ。すごい男前じゃん。」
「関係ないでしょ」
アリスは冷たく言い払うとアランを置いて先にホールに入って行った。
突然決まった舞踏会だったが、たくさんの人達が集まっていた。
みんな久しぶりにアランを見ようと駆けつけたようだ。特に着飾った夫人たちが多く目に入る。
しばらくすると、リアが母親と共にやって来た。
「…ほら、あの方ですわ。」
「アラン様の婚約者の」
リアの登場に、みながヒソヒソと囁いた。
王宮で人気のあったアランが結婚を決めたのだ。
リアは今一番注目の的になっていた。
「…リア、緊張しているみたいね」
アリスは小さな声で隣のソフィアに言った。
「アリス様、お声はかけないのですか?」
「今夜は辞めておくわ。アランの婚約者って事で注目されてるのに、私が離宮へ連れて行ったものだから、更にリアを妬む声が出ているのよ。私が声を掛けたら、更に標的にされてしまうわ。」
母親に付き添われ、リアとアランが対面した。
アランが跪き、リアの手にキスをすると周りがざわついた。



