「聞いたのか?」
「ええ。あなたの縁談相手から直接ね。」
アリスは紅茶を一口飲んだ。
「…本人から?お前、やっと宮廷内に友達出来たんだな。」
アランの言葉にイラッとしつつアリスは何も言い返さなかった。
昔から自由で、一様貴族の息子なのに舞踏会には出席しない、謁見には一度も顔を出さず、来た縁談は全て断っている。
アランの側近になった人はあまりの自由人っぷりに手に負えず今まで何度も変わっている。
この上、数年前に突然他国に留学すると言い出した時は、アランの父親は怒りのあまり熱を出し寝込んだほどだ。
結局、何の護衛も付けずに国を出て行った。
「…リアはとてもいい子なの。断るなら早く伝えなさい」
アランはテーブルにあったお菓子を2.3個手に取るとポンポンと口に放り込んだ。
「…受けるつもりだよ、縁談。」
「っごほっ、え?!」
アランの言葉にアリスは思わず咳き込んだ。
「受けるの?え、結婚するの?!」
「ああ、そうだよ。」
あまりの驚きにアリスはぽかんと口を開いた。
どういう風の吹き回しか…
こんなにアッサリ結婚を決めるなんて、何があったの…?



