「明日からアリス様は休暇だろ?」


「ああ、離宮で過ごされるようだ。」


「シド達も付いていくんだろ?羨ましいぜ」


シドは勤務表を見た。ルイは明日から休暇で実家に帰ると書いてある。


「ルイだって明日から実家に帰れるじゃないか。」

近衛隊に入隊して8ヶ月。ようやくシド達も2日間の休暇を貰える事になっている。


「まぁ帰っても親父からうるさい事言われるだけだ。」


シドもアリスの休暇が終わったらアーデル家に帰る予定だった。旦那様やハスラは元気にしているだろうか。久しぶりにガストにも顔を見せに行きたい。

シドは荷解きを終えると久しぶりに稽古場に向かった。

リダが1人黙々と素振りをしていた。

鍛えられた肉体に汗が流れ落ちる。

シドに気がつくと、木刀を下ろした。


「…戻ったんだな。」

「はい!」

リダは今回のアナモネア訪問には同行せずアンナの代行で城の警護をしていた。


「…ハデス家の騒動のことを聞いた。お前が魔法使いだとか言う噂が広まっているが、近衛隊員である限り魔法などは必要ない。剣の腕だけ磨け」


ぶっきら棒に言うリダだったが今のシドにはとても心強い言葉だった。

「ありがとうございます!」

リダはそれ以上何も言わずに稽古場を後にした。

シドも気合を入れ直し素振りを始めた。