白雨の騎士


「静かにしろ。この国の国王、前に出ろ」

マスクを下ろし、声をあげたのはキトだった。

アナモネアの兵士達が一斉にキト達を囲い剣を向けた。

その行動にキトはふっと不適な笑みを溢した。


「…お前達に俺たちは捕まえられない」

すっとキトは手を上げた。その途端に兵士達の剣が彼らの手を離れ宙に浮かんだ。


「ま、魔法使いか?!」

宙に浮いた剣はキトが手を下ろすと一斉に壁に突き刺さった。


「俺たちはこの国の王をその座から引きずり下ろす為にやって来た。歯向かう奴は容赦はしない」


キトの目的はアナモネアの国王?!

シドは混乱するホールをどうにか抜け出せないかと辺りを見た。

「シド」

背後からアンナが呼びかけた。

「下手に動くと何をするか分からない。」

キトの周りにいる男達も魔法使いかもしれない。

シドはぎゅっと拳を握りしめた。


「…さぁ、国王を早く出せ!」


キトが叫ぶと、兵士達に囲まれて国王が前に出た。
その隣にはルーン王子の姿もある。


「…私がこの国の王だ。」

国王の言葉にキトはふっと笑みを溢した。


「国王と王子の私が話を聞こう。だから他の人達はこのホールから出してくれ」


ルーン王子の言葉に、キトは少し考えた。


「いいだろう。王以外の者に用はない。」