白雨の騎士


舞踏会も中盤に差し掛かった頃、ルカの部下が馬を走らせアンナの元へやって来た。


「…なに?それは本当か。」


部下の話を聞いてアンナの表示が曇った。


ルーン王子とアリスが話しているすぐ側で警護していたシドの元へアンナがやって来た。


「…ルカからだ。キトはいつもより早く店に来て数人の男達と今夜はすぐに店を出たらしい。」


パリン!!!

すると会場のどこかの窓が割れる音が響いた。

煙幕が投げ込まれあたりは真っ白になった。


「…シド!アリス様を!!」


ホールにいた人達は悲鳴を上げた。

シドは慌てる人々をかき分けアリスの元へ急いだ。


「…シドっ」

アリスの声が聞こえ辺りを見渡すとうっすらと姿が見えた。
シドはアリスの手を引いた。


「…一体、何事?!」


「分かりません。とにかく安全な場所へ」


アンナが扉を開けた。煙は窓の外に吸い込まれ、視界がひらけた。

すると、黒い服に黒い布で口元を覆った男が数名立っている。


一人の男が前に出て、マスクを下ろした。


その顔を見てシドとアンナは驚いた。