バルコニーの外でシドはソフィアと共に待機していた。
「近衛の仕事は慣れましたか。」
ソフィアがシドに話しかけた。
「はい。アート様やアンナ隊長と比べるとまだまだですが。」
「あなた達は当初アリス様の結婚相手にと言う事でしたが剣の腕は剣術大会で拝見しました。お見事でした。」
アリス様の結婚相手か。初めの頃はそのことばかり気にしていたが最近は忙しくしていて忘れていた。
「…シドさん。アリス様の事をどう思われますか?」
「未来の女王として何も不足のないお方だと思います。」
シドの答えにソフィアはふふっと笑みを溢した。
「アリス様の夫になろうとは思わないのですか?」
「実は僕は近衛隊がアリス様の結婚相手を見つけるための募集だと知りませんでした。ただ近衛になる事が夢でしたので。国王陛下には申し訳ありませんがそのつもりはないです。」
ソフィアはシドの顔を覗き込んだ。
「でも、温室でアリス様の事を抱きしめていらっしゃいましたよね?」
ギクッ
ソフィアの言葉にシドは視線を逸らした。
ソフィア様、見ていたのか…
「自分でも何故あんな大それた事をしたのか…申し訳ありません。」
ソフィアは再びくすっと笑った。
「…もしアリス様が時期女王ではなければ、ルーン王子は結婚を申し込んだでしょうね。」
振り返り、バルコニーでお茶をする2人の後ろ姿をソフィアは見た。



