「もう6時半回ってるよ。起きて!」



遮光カーテンの隙間から差し込む朝日に顔を顰めつつ、未だにすやすや寝息を立てている彼の肩を揺すった。


眉間に皺を寄せて、身動ぎしたかと思いきや……また寝入ってる!?



「もぉ、ナオくんてば! 遅刻しちゃうよ!?」


「んー……」



……起きないんですけど。

こうなったら強硬手段だ。


ベッドから降り、裏に回って青い布に手をかけた。


瞬間、ベランダから差し込んだ太陽の光が、ナオくんの顔を容赦なく照らし出す。



「うわっ……やめろよ」


「何回言っても起きないからじゃん」


「俺が灰になったらどうすんだ」


「輸血パックでも飲んでなよ」



ようやく起き上がりだしたナオくんを置いて、部屋を出る。


顔を洗って、スキンケアして、リビングに向かって朝食の準備だ。





「ご馳走様。今日は1限だっけ?」


「うん。私もすぐ出なきゃ」


「食器は俺が片付けとくから、早く戻って準備してこい」


「えーほんと? 助かる、ありがとう」



トーストと目玉焼きが乗っていたプレートを、慌ただしくシンクに置いた。


帰ってきてから洗い物だけしに来てもよかったんだけど、ナオくんがこう言ってくれてるから甘えちゃお。



「じゃ、よろしくね! 仕事頑張って!」


「おー。茜も授業頑張れよー」



ひらひらと手を振るナオくんに別れを告げて、私は慌てて404号室に戻った。




彼と出会って何度目かの春。


私は大学で、ナオくんは試験に合格して配属された隊で、みんなもそれぞれ別の環境で、目まぐるしい毎日を懸命に生きている。