「私を恨んでいないのか?」



咲乃が死んでしまったのは、私のせいだというのに。



すると、新城は私の額を軽く殴った。



「しつこいな。俺はお前のせいだなんて思ってねえよ」

「……そうか」

「話終わったか?」



待ちくたびれたのか、雨宮が戻って来た。



「ああ、終わったよ」



新城は立ち上がり、帰ろうとした。



「どこ行くんだよ」



しかし雨宮が引き留める。


そう言われると思っていなかった新城は、戸惑っているようだ。



「どこって、自分の教室だけど」

「隼人もここで昼食べようぜ。もしかしてもう食ったのか?」

「いや、まだ……」

「じゃあいいじゃねえか」



それでも新城は首を縦に振らない。



新城からすると、だれかれ構わず暴力を振るっていたときのことを思っているのだろう。



「俺たちもう友達だろ?なにをそんなに悩んでんだよ」



しかし簡単に友達だと言ってしまう雨宮には敵わない。


私もそれに負けたのだから。



「……じゃあパン買ってくる」



新城も負けたようだ。



パンを買った新城は戻って来て、一緒に昼食をとった。




私は二人も大切な人を失った。


その代わりとなる人は存在しない。



誰に対して同じように大切に思ったとしても、咲乃は咲乃、佑真は佑真だ。



始まりは普通ではなかったが、私は二人を失った悲しみに飲まれないように、雨宮と新城とそして今後新たに出会っていく誰かと、友人関係を築いていきたいと思う。