しかし呼びかけた新城は続きを言わない。



「どうした」

「咲乃がいじめられた原因、もう一回教えてくれ」

「佑真と話しているところを見られたからだが?」

「佑真って、相田だよな。この前喧嘩した相手。つまり、和多瀬のことも知っていて、咲乃のことも知っている。……そいつに話は聞いたのか?」



足が止まった。


電話で話していてよかったかもしれない。



もし面と向かって同じことを言われたら、私はなにをしたかわからない。



「お前、佑真を疑っているのか」

「お前は俺の仲間たちを疑ってくれただろ。怒られる義理はない」



そう言われてしまうと、なにも言い返せない。



「それに、可能性の話だ。白黒はっきりしていないなら、確かめるんじゃなかったのか。というか、そうしてきたじゃねえか」

「そうだが……」



認めたくなかった。



確かめたい気持ちはある。



だが、もし佑真が関係していたらと思うと、怖くて仕方ない。



「玲ちゃん?」



唐突に声を掛けられ、驚いて振り返る。


そこには佑真が立っている。



逃げるな、私。


まだ佑真が関係していると決まったわけではないのだ……



「……新城、今から送る住所まで来てくれ」



私はそう言って電話を切った。