「また連絡するよ」



靴を履きながら、新城が言った。



「はい。和多瀬さんも、また来てください」



第一印象からは想像できないくらいの笑顔を見せてくれた。


少々前髪が邪魔だな。



「それまでには前髪くらいは切っておいてくれよ」

「努力します」



そして私たちは駅に向かった。



「思ったより恨まれてなかったな」

「思ったよりってか、まったくだった。俺、結構なことしたのに……」



来た道を帰るだけだから、今度は並んで歩く。



影山はきっと、あの仲間の中で唯一、新城の気持ちを理解した人間だったのだろう。



「新城はなにに怯えてたんだか」

「言うなよ……」



落ち込む新城に笑ってしまいそうになり、必死に堪える。



「そういえば、和多瀬が不機嫌だった理由ってなんだったんだ?」



新城は話題をそらすために言ったに過ぎないとわかっているが、正直まだ忘れていたかった。



「……佑真と喧嘩しただけだ。気にするな」



新城には仲直りを促したが、素直に佑真と和解できる気がしなかった。


話し合ったところで、余計仲がこじれるだけだと思う。



新城は聞いてはいけなかったことだと感じたのか、今度こそ触れてくることはなかった。



私たちは電車に乗り、帰路についた。