「あの……無茶、しないでね?」

「無茶ならもうしている」

「そうだけど……」



佑真は目を泳がせる。



なにが言いたいのか、全くわからない。



「その……ないかもしれないのに、無理に追わなくても……」



……なんだ、それ。



「はっきりしていないから、はっきりさせようとしているのだ。余計な口出ししないでくれるか」



私はそれ以上自分を嫌ってしまうようなことを言ってしまわないように、家を出た。



新城との待ち合わせ場所は、駅のホームだった。


私は切符を買い、ホームに向かう。



「和多瀬」



新城は先に来ていた。


仲間と上手くいったのか、すっきりした顔をしている。



「どうした。浮かない顔して」

「……別に」



自分で思っていたよりも低い声で、本当に不機嫌になっているのだとわかる。



新城は察してくれたのか、深く聞いてくることはなかった。



一時間以上電車に揺られ、私たちは目的地に到着した。



駅を出て、新城はスマホを操作する。



「影山の家は……こっちか」



私は新城のあとを歩く。



十五分程度で着いた一軒家の表札には、影山と書かれていた。