「好きです。付き合ってください」

「ごめん。お前みたいなヤツ、無理」


人生で初めての失恋をした。


もう恋なんて……したくない。


「椿~。泣くなよ。俺まで悲しくなるじゃん」


目立たない場所で泣いていたら、同じクラスになってから仲良くなった翼が私の隣に並んでそう言った。


いつもからかったりしてくるくせに、なんで今はそんなに優しいの……?


「アイツに見る目がないだけだよ。椿にもすぐ彼氏できるからさ!」

「ぐすっ……、そんなの分かんないじゃん!」


失恋のショックで投げやりになっていた私は、肩に優しく乗せられた翼の手を思い切り払ってしまった。


「じゃあ、俺が椿の彼氏になる」

「……は?」


いつもとはまるで違う、真剣な声で翼が言うので、一瞬その意味が理解できなかった。


「翼…? 何言ってるの?」


「俺、椿のことがずっと好きだったんだ」


もう恋なんて……したくない。


……はずだった。