〈突然の手紙ですみません。私、ずっと泉くんのことが好きでした。付き合ってください。酒井〉


 突然もらったラブレター。


酒井といえば、クラスのマドンナ的な存在の女の子だ。


何人もの男子の告白を断っできたことで有名な彼女が、どうしてこんな平凡な俺のことが好きだというのだろう。


話したことないし、もしかして遊んでいるだけだったりするのだろうか。



 遊ばれているんじゃないかという不安が拭えずに、なかなか返事をできなくて実質スルーしてしまっていたある日。


教室に戻ると、中から酒井の友達の声が聞こえてきた。


「ねえ、なんで泉くんなの? もっとかっこいい男子いっぱいいるのに」


それは俺も確かにと思ったことだった。


話題が俺のことだけに出ていきづらくて立ち聞きしてしまっていると、驚くような酒井の言葉が聞こえた。


「私ね、入試の日に泉くんに助けてもらったの」


助けた……?


助けたって、もしかして君は……。