クラスメイトの誰も知らない、私達だけの秘密。


休憩時間、窓側の一番後ろの席で彼を見ていると、いつも目が合う。


彼の名前は、陽翔。



 放課後。


私は誰もいなくなった教室で本を読んでいた。


「瑠花、お待たせ」


声をかけてきたのはニコニコした陽翔だ。


私達はクラスの誰にも知られずに付き合っている。


男女が交わることが少ないこのクラスでは、何となく付き合っていることを言いにくくて隠したままでいるんだ。


「陽翔!」

「遅くなってごめん。日直の仕事が長引いちゃったんだ」

「ううん、大丈夫だよ。お疲れ様」


 この時間以外にはなかなか話せないけど、私はこの夏の空を見ながら二人で話すこの時間がとっても幸せ。


「瑠花、大好きだよ」

「私も、大好き」