今日で高校生は最後。


伝えるなら、今日しかない。


「卒業してもずっと一緒だよ!」

「先生写真撮ろ~」

「この後どこ行く?」


 みんなが卒業式の余韻に浸る中、私は緊張しながらある名前を呼んだ。


「結城くん」


私の声でみんなが静かになり、私たちを見つめた。


結城くんだけが何が起きたのって顔で周りを見回していた。


「あのっ……」


みんなに静かに見守られながら、私はうるさく暴れる心臓を落ち着かせて言った。


「好きです。私の彼氏になってください!」


一瞬、永遠に感じられる沈黙がみんなの間を駆け抜けた。


「俺も、好きです。これからよろしく」

「きゃあああ!!」


 高校最後に流した涙は、幸せの味がした。