「はあ…」



魔法が解けたというのに、深いため息を吐くアオイ。


森を抜けるまでは危ないからと、アオイが手を繋ぐように言った。


そんなものは口実だと分かっていながら、素直になれないあたしは「仕方がないわね」と左手を託した、そんな帰り道。



「どうしてため息なんて吐くのよ。せっかく手に入れた幸せが逃げてしまうでしょう」



「だって…」



「なによ」



「まさかお嬢様に助けられるとは思っていなかったし、ドクターと時計屋の前であんな失態を…」



「どこが失態なのよ。失礼ね」



口を尖らせてアオイの脇腹を突いてみるが、ビクともせず、全くあたしの話を聞いていないようだった。