そして日は沈み切り、夜が森を包み込んだ。



「もうダメだ…今頃アオイの指示でトランプ兵たちがあたしを探しているに違いないわ…」



「探してくれる人がいるなんて、幸せじゃないか…」



「過保護なのよ…あたしはもっと自由に生きたいのに」



「みんな、無いものねだりなんだよ」



お爺さんの紅茶をすする音と、薪の燃える音が重なる。



「どういう意味?」



「みんな、自分にないものを求めたがる。本当は自分が一番素敵なものを持っているのにね」



「……あたしにはまだ分からないわ。羨ましいものは羨ましいもの」



「早く気づけるといいな…」



そんなこと言われても…とあたしの心がザワつく。