「雪を溶かす魔法ならあるけど、雪に触れられないんじゃなあ…」
お爺さんは扉を押すのを諦め、ストーブの横の椅子に座り直した。
「今日はやめとけって、あれほどテッドに言われたのに…」
「まあ、お嬢さんに怪我がなくて良かったよ。外にいる時だったら埋もれていたからね」
今はそんな心配をしている場合ではない。
それよりも…
「夕食までに帰れるかしら…」
「これは、難しいかもしれんなあ…」
「そんな…」
夕飯までに帰れなかったら、監視カメラより鋭いアオイに気づかれてしまう。
今、アオイにこのことがバレるわけにはいかない。
ここを出る方法、アオイにバレないための方法、たくさんたくさん考えたけど、あたしの魔法ではどうすることも出来なかった。


