思えばアオイから自分の話をするのは初めてかもしれない。


200歳のおじいさんでも、今一番そばに居るのはあたしなわけで、アオイの話を聞けるのも今はあたししかいない。



あたしは真っ直ぐにアオイへ向き直した。




「どこにいたって、何を見たって、何をしていたって、どうせみんな私を置いてけぼりにしてしまう。

私が何かを望んだって、今出来ることしか出来なくて、私には今しかなくて、未来がない。200年同じ状況が続けば諦めたくもなります。

だけど、ダメもとで入ったこの王室で、私はお嬢様に出会った。わがままで、お転婆で、突拍子のない頼み事を平気でする。王室に入った本来の目的を見失うくらい、毎日が忙しくて、楽しかった。

私はそんな毎日に夢を見てしまったんです。成長して、色んなものを見て、色んな景色を感じて、誰かと歳をとりたいと思うようになってしまった」