「ごめんなさい!あたし行かないとっ」


「姫様また来る!?」


急ぎ足の中背中で聞こえた時計屋の声。



「えぇ。必ず行くわ。最高の茶葉屋と一緒にね」



自分でも驚くほど、1番の笑顔を向けた。



こんなに笑ったのはいつぶりだろう。

こんなに不安なのはいつぶりだろう。

こんなに悲しいのはいつぶりだろう。



退屈で、鬱陶しくて。



いつの間にか楽しいも悲しいも忘れていた。



どうせ退屈な日々。

楽しい時間も勝手に退屈な時間に変えていた。



アオイはいつから城にいるの?

この200年何をしていたの?


変化のない自分。

関わった人みんなが先にいなくなってしまう。

アオイの方がずっと退屈で悲しいじゃない。



森を抜けるまでに涙が出た。


城に着くまでに拭わなきゃ。


止めないと。



泣きたいのはあたしじゃないから。