森を抜けると、そこには見慣れない一軒の小さなお家が見えた。


うさぎの姿はどこにもない。



それと引き換えにかすかに聞こえる陽気な歌声、たくさんの笑い声。



引き寄せられるようにその家に近づいた。



どうやらこの家の裏庭からの音らしい。



あたしの好奇心が足をおそるおそる前に進めた。



大きな帽子を被った男。

うさぎ。猫。ネズミ。そしてうさぎがもう一匹。

さっき追いかけたうさぎだ。



「あれ?君は?」

猫がこちらに気付いて声を上げた。


「女の子が迷い込んできたぞ」

次に喋ったのが小さな小さなねずみ。


「君は、この国のお姫様じゃないか?」

そして帽子を被った男があたしに近づきのぞき込んでそう言った。